宅建の特徴は、国家試験の中でも学習時間と必要な費用の両面において、「コストパフォーマンス」に優れている点です。
不動産業全般に加えて、一部の金融業界(住宅ローン関係)や土木建築業界においても需要がある資格なので、取得することで転職や就職の選択肢は大きく広がるでしょう。
難易度もさほど高くないので、独学で十分対応可能です。
目次
宅建の難易度ってどれくらい?
初学者にとって一番気になる宅建の難易度
宅建の難易度を簡単に説明すると、「簡単ではないものの、超難関というほどではない」といったところでしょうか。
合格率は毎年度15%~17%前後で推移しており、直近の平成28年度の合格率は「15.4%」
。
つまり、宅建は受験者10名のうち1人か2人は合格を果たすことができる試験です。
難関国家資格になると合格率は10%を割るのが当たり前ですから、
合格率という観点から見ると、宅建士試験は法律系資格の登竜門的なポジションだと言えるでしょう。
平均合格時間は約300時間!
宅建に合格するためには、平均で「300時間」程度の勉強時間を確保が必要と言われています。
公的機関による統計情報がないので、この勉強時間はその真正性を保証するものではありませんが、私自身が実際に勉強した1人として考察しても、「300時間」という勉強時間は妥当なところだと感じています。
さて、宅建に必要な標準学習期間はおよそ6か月「180日」です。
これを学習時間に当てはめて計算すると、1日あたり約100分程度勉強することで、合格ラインに達する知識が得られることとなります。
これくらいの時間であれば、社会人でも十分に対応可能なのではないでしょうか。
ただ、働いている会社の激務度によって勉強できる時間は全然違いますよね。
あなたが自宅で勉強する時間がないのならば、動画・音声を使って勉強できる教材を使って時間を確保する方法がおすすめですよ。
私が使用した教材「スタディング(旧 通勤講座)」をぜひ一度確認してみて下さい。
36点以上で合格可能!
宅建試験は4択の択一式問題ですから、合格するために全てを正解する必要はありません。
合格点数は合格率同様に変動しますが、毎年度「33点~36点」前後で推移しているので、総問題数50問中36点以上確保することで十分に合格ラインに達する事が可能です。
ところが、この36点という正答数。
一見簡単なようで意外と難しい曲者です。
宅建試験は毎年度、正答が非常に難しい「超難問」が出題される上に、範囲が広く厄介な免除科目を含んでおり、予備校講師でも試験本番で満点合格を得るのは厳しいというのが実情。
特に、後述する勉強に費やす「時間配分」を怠ると300時間程度では到底合格できません。
カギを握るは時間配分
宅建に効率よく合格するためには、分野別に勉強時間をうまく配分する事が最も大切な要因です。
少し具体的に述べると、問題数が多く比較的容易に正当できる「宅建業法」や、難しいが出題傾向を絞りやすい「権利関係」に注力し、逆に問題の幅が広く全てを網羅するのが難しい「免除科目」は少し手を抜くなど、
「合格のための勉強時間」をコントロールする対策は宅建を合格する上での必須テクニックだと言われています。
詳細は下記にまとめましたので、学習前に一度目を通しておくと良いかもしれません。
☆宅建試験の科目一覧
1、権利関係…民法の権利義務に関する問題。判例を題材に出題するなど変則的な問題が増えてきており難易度は上がっている。問題数が14問と多いので避けて通れない。
2、宅建業法…文字通り宅建業法に関する問題。簡単なものが多く、テキストと過去問だけでかなり正答できるように。出題数が20問と最多なので大きな失敗は許されない。
3、法令上の制限…都市計画法や農地法など、土地の利用制限に関する出題。8問と問題数は多くないので、後回しになりがち。
4、税務や免除科目…どちらも難しい。特に免除科目は出題傾向の予測が非常に困難で、他分野の読み込みが甘いと、この科目で涙を飲むハメになる事も。8問出題。(うち免除科目は5問)
宅建士と勉強方法 ~独学か資格学校か~
宅建に限った話ではありませんが、資格を勉強する上でかならず迷ってしまうのが、「独学か資格学校か」といった教材やカリキュラムの選択です。
人によって費やすことができるコストには差がありますし、自分に合ったスタイルでなければ十分な学習成果は得られません。
それぞれの学習方法を比較検討して、ベストな教材を選びましょう。
受験者の何割かは独学を選択。独学ならではのメリットも。
宅建士の取得を目指す方のうち一定数は「独学」を選択しています。
宅建士は日本最大級と言っても良いくらいの大型国家資格なので、市販のテキストだけでも十分な種類があり、自分の肌にあった参考書を手に入れやすいからです。
(マイナーな資格だと出版されている参考書の選択肢が少なく、わかりにくいテキストで勉強するハメに…)
独学のメリットは、資格学校に通学するよりもコストを抑えることができる点に加えて、資格学校にある時間的な制約が無く、「いつでも好きなときに、自分のペースで勉強できる」点です。
これは通学制の資格学校のデメリットと比較するとかなり顕著で、
☆「途中で眠くなったから講義がよく聞けなかった」
☆「仕事が忙しくて講義に参加できないうちに、周囲と差がついてしまった」
☆「事前に講師の雰囲気が掴めず肌に合わなかった」
等々、資格学校にありがちなストレス要因にとらわれず、自由気ままに勉強を進めることができます。
より合格率を高めるには、通信講座での独学も
市販のテキストだけでは不安を感じる方には、「通信講座を利用して自宅で独学」という選択も有効です。
ちなみに私はこの方法で勉強して合格を勝ち取りました。
大抵はDVD等を利用した動画講義を中心に進め、配布された問題集を解いていくというシンプルなスタイルですが、わからないポイントはメッセージカードや専用SNSを利用して随時問い合わせを行うことができるので、学習の方向性を一定に定め、効率的な学習が進められるメリットを有しています。
また、通信講座の中には定期的に実践的なオリジナル問題による「模擬試験」を行うサービスが付帯しているものもあり、自宅に居ながら自身の学習状況を把握することが可能です。
多少コストはかかってしまいますが、「より合格率を高めたい!」という方には強くオススメします。
私が利用した「スタディング(旧 通勤講座)」はDVDではなく、youtubeのようなストリーミング形式で動画を観ることができるので、スマフォでもタブレットでもすぐに勉強できます。
それなので通勤時間やちょっとした休憩時間に勉強でき、時間をなかなか確保できない人でも勉強時間を確保できます。
他の通信講座教材よりも使いやすいだけでなく、価格も2万円程度と非常に安いので特にオススメですよ。
じゃあ、資格学校はどうなの?
資格学校は、学生が利用する学習塾や予備校のように、決められた時間に通学するシステムです。
学校のような感覚で利用できるので、「わからないところを即座に質問できる」という大きなメリットを有しています。
ただし、社会人の場合は「決まった時間に確実に通うこと」が難しい場合も。
繁忙期に差し掛かった時など、十分な学習環境を維持できないケースは往々にして見られます。
もちろん、資格学校も参加できなかった方のためにDVDなどによる録画講座を提供していますが、学習に必要なコストも教材の中で一番高いので、そうなってしまうとコスパは非常に悪いです。
宅建は独学でも十分に合格可能な資格ですから、高いコストをかけて資格学校に通学するのは、確実に時間を確保できる方以外にはあまりオススメできません。
宅建のコスパを知ろう~行政書士やFP2級と比較検討~
宅建の難易度は法律系試験としては易しい部類に入りますが、それだけではピンとこない方も多いのではないでしょうか。
そこで宅建試験の合格者のうち、毎年何割かが次のステップとして選択する、「フィナンシャルプランナー2級(FP2級)」や「行政書士」と難易度を比較してみたので、一緒に確認してみましょう。
先に結論を述べると、宅建士は比較対象の3資格の中ではちょうど真ん中の難易度にあたり、「行政書士より優しく、FP2級より難しい資格」です。
宅建士 | 行政書士 | FP2級 | |
出題形式 | 択一式 | 択一・選択・記述 | 択一式・記述式 |
合格率 | 15.4% | 9.95% | 学科34.8% |
※FP2級は日本FP協会のデータを引用
ステップアップとしての行政書士
行政書士は宅建士同様に国家資格であり、同じように独占業務を有した資格です。
民法など一部の分野において出題範囲が宅建と重なっている事もあり、宅建士が次に取るべき資格として毎年度上位に食い込んでいます。
しかし、行政書士の難易度は宅建士よりもあらゆる面において1枚も2枚も上です。
必要な勉強時間もその分だけ多く、必要勉強時間が平均1000時間を超えるなど、かなり本腰を入れて取得しなければならない難関資格に位置しています。
このように、行政書士は初学者がすぐに取得する事は難しい資格ですから、宅建か行政書士かで迷っている方がいれば、宅建から取得することをオススメします。
途中で少し触れたように、宅建で学習した知識が全て無駄になるという資格ではないので、「宅建→行政書士」と階段を上るかのように段階を踏んだ学習が可能です。
FP2級と比較検討 ~独占業務の有無~
これに対して、FP2級は宅建よりもかなり合格率が高い点が特徴です。
比較的受験しやすく、求人情報にもFP2級有資格者を求める声は一定数あるので、就職や転職に活用するならFP2級も役に立ちそうです。
ただし、ここで忘れてはならないのが、「資格が持つ性質の違い」です。
FP2級は国家資格ではありますが、宅建士や行政書士のように有資格者専用の業務である「業務独占資格」がありません。
つまり、FP2級ができることは、知識さえあれば無資格者のままでも行うことができるのです。
これでは転職や就職にFP2級の名前を使う事はできても、「就職後の仕事の引き出し」を増やす事には繋がりません。
ここが宅建士や行政書士との違いです。
「自分ができる仕事を増やしたい」という思いがあるならば、間違いなく宅建士や行政書士を取得する事をお勧めします。
おわりに
宅建は必要となる勉強時間や教材費と比べて、資格取得時のメリットが非常に大きい「コストパフォーマンスが高い」資格です。
他の資格と比べても難易度的にちょうどよく、仕事や就職に必要と言う方以外にも、気軽に入っていけるメリットがありオススメですよ。