宅建に効率よく合格するためには、その試験内容を把握し科目別に対策を行うことが必須です。
宅建の標準学習期間はおよそ半年、時間にして300時間程度。
しかし、ただ闇雲に学習を進めるだけでは、倍の600時間かけても合格は難しいでしょう。
学習に取り掛かる前に宅建の試験内容を理解して、効率よく学習を進められるようにその全体像を紹介します。
目次
宅建試験は50問択一式 ~試験内容の把握しよう~
宅建試験の試験内容は択一式で問題数は50問。
いずれも4択とシンプルな構成です。
合格点数は毎年変動しますが、過去合格点数が36点を超えた事(最高合格水準点が36点)は一度も無く、合格率はおよそ15%前後。
したがって、「50問中36点以上」獲得すればほぼ合格と言われています。
試験内容の把握が合格のカギ ~過去問を制して宅建を制する~
宅建の試験内容については過去に問われた論点の焼き直しが多く、時としてほぼ同じ問題が出題されることがある点が特徴です。
また、焼き直し問題以外も過去問を学習することでほとんど答えを導き出すことができる出題が問題数の大半を占めており、このような平易な出題をいかに正答するかが合否をわける分岐点となります。
この過去問中心という宅建の性質を理解せずに、ただいたずらに参考書を読み漁っても、正直言って合格は難しいでしょう。
試験内容と問題数を把握し、「過去問を中心とした学習」を進める事が、合格への最短ルートです。
問題数に惑わされるな ~宅建試験の落とし穴~
繰り返しになりますが、宅建試験は50という問題数のうち、およそ36点以上正解すれば合格できる試験です。
言葉を換えれば「14問は間違えても大丈夫」と言う意味でもあります。
しかし、宅建を合格する上では「14問も間違えて良いんだ」という甘い思考は、命とりとなりかねません。
宅建試験は毎年数問は正答がとても困難な出題が行われる上に、科目の中にはそれ自体が難しいものもありますから、「間違える部分を自分で選ぶことはできない」と覚えておきましょう。
捨てる問題は全て受験者が選べるのではなく、実質的に出題者が意図した部分を受験者は「捨てさせられる」からです。
ここを履き違えると、かなり厄介なこととなります。
科目別に学習の比重を調整しよう ~科目で違う、その難易度~
宅建試験の科目は大きく分類して4つ。
併せて問題数も併記します。
〇「権利関係」…14問
〇「宅建業法」…20問
〇「法令上の制限」…8問
〇「税やその他・免除分野」…8問
科目別開設「権利関係」
宅建における権利関係の問題は、民法を中心とした出題です。
理解するには法律独特の思考力が求められるので、法律に慣れていない方は比較的苦労する科目です。
逆に、民法に触れた事がある方には、やや有利な科目だとも言えます。
宅建試験における権利関係の位置づけは一言で表現すると「難しい」です。
権利関係の問題はほかの科目と比べてかなりこだわった内容の出題が多く、ストレートに問わず「過去の裁判例」を掲載して出題したり、(社会的には常識であるものの)そのルールは「条文に定めがあるか」を問う問題を出したりと、全て正答することは非常に困難です。
ただし、権利関係科目からの出題は14問とかなり多いので「全てを捨てる」わけにはいきません。
参考書を繰り返し読み込み科目に対する理解度を深めて、拾える問題はすべて拾っていくのがポイント。
この分野はテキスト中心に学習を進め、まずは知識を深めることが重要です。
科目別解説「宅建業法」
宅建試験で絶対に落とせないのは「宅建業法」からの出題です。
上記の出題数を見ても理解できるように、宅建業法は試験内容のうち最も問題数の多い科目。
当然ですが、落とすことはできません。
この科目の特徴は、過去問の影響を一番強く受けている点です。
最近は個数問題の登場などで正確な知識を問う傾向にありますが、試験内容そのものはストレートに業法制度を問う出題が多く、基本的には「過去問を繰り返し学習するだけ」で大半を正答することが可能だと言えるでしょう。
宅建業法に対する知識が不十分では、ほぼ確実に合格することはできません。
「50問中36点でいいんだから、少しくらい大丈夫」と甘いことを考えている方には、間違いなく不合格が待っているでしょう。
科目別解説「法令上の制限」
法令上の制限は、都市計画法や土地区画整理法、宅地造成等規制法といった土地の利用や建物の建築に対する法制度をテーマとした問題です。
かなりわかり難く厄介な科目として知られており、理解するためには参考書と過去問を併用して反復学習を続けるしかありません。
ただし、問題の出し方は素直な傾向にあるため、知識が定着するにつれて、正答率は上昇するはずです。
問題数は8問と多くありませんが、権利関係や免除分野が難しい事を考慮すると、8問中5問か6問は得点しておきたいところです。
科目別解説「税・その他免除分野」
税や免除分野科目からの出題は8問。
特に免除分野において言えることですが、特徴は範囲がとても広く、「どこから出題されるのかわからない」という点です。
免除分野をすべて理解する必要はありません。
参考書に書いてある範囲で学習を進め、過去問を使ってどのような形で出題されるのかを掴んでおけばそれで十分でしょう。
なお、この科目から出題される問題の難易度は、毎年「天と地」ほどの差があります。
簡単な年は常識の範囲で解けますし、難しい年は何をやってもお手上げ状態。予備校講師でも正答は難しい時もあるでしょう。
とは言え、高難度出題の年は他の受験生も正答することができませんから、合否に与える影響は限定的だと言えます。
宅建における出題形式 ~ただの4択と侮ってはいけません~
宅建試験の出題形式は50問すべてが「択一式」であり「4択」です。
これだけ聞くと多くの方は「簡単そうだ!」と感じてしまいますよね。
しかし、宅建の「4択」はただの「4択」ではありません。
単純な出題形式の内には、あの手この手で工夫が凝らした厄介な問題が潜んでいるのです。
消去法が使えない!? ~個数問題の恐怖~
皆さんが4択問題を解くときに、「どれが正解かわからない」時はどのようにして対処するでしょう。
おそらく、多くの方が確実に違うものを除外する「消去法」で答えを導くのではないでしょうか。
正解がわからずとも、違うものを除外することで正答率を上げる事ができますから、消去法は試験テクニックとしてかなり有効な選択です。
しかし、宅建の出題形式の中で登場する「個数問題」には消去法が有効だとは限りません。
個数問題とは、文字通り「この中に正解はいくつある?」と問う出題形式で、4択においてその数を述べる事となります。
つまり、消去法を使って1つの選択肢を潰したところで、他の問題が正解か否かを判断する事ができなければ、正答する事は難しいのです。
当然、個数問題は多くの受験生に嫌われ、警戒されており、宅建の難易度を上げる一因となっています。
より正確な知識が求められる ~組合せ問題の厄介さ~
組み合わせ問題とは「この中で正解はどの組み合わせ?」と問いかけてくる出題形式です。
4択には「AとB」とか「AとC」などと記載されており、この中から正解を選び取る事になります。
基本的には普通の4択と変わらないように見えますが、2つ答えを見つける必要があるため「1か所だけ正答部分がわかっても完全に解くことができない」点が特徴です。
通常の4択問題よりも正確な知識を身に着けていなければならず、宅建の試験内容を難化させる出題形式として、個数問題と双璧を成しています。
まとめ
宅建に効率よく合格するためには、その内容や出題形式を把握して、科目別に「過去問中心」の学習を進める事が大切です。
特に、絶対に落とすことができない宅建業法の過去問には、多くの時間を費やしましょう。
合否を分ける第一分岐点です。
宅建試験は科目ごとに難易度がかなり違ってくる試験なので、時間配分をしっかり考えないと合格する事は難しいです。
本番で「時間が足りない!」なんてことのないように演習を繰り返しましょう。