宅建士試験独学のコツ

権利関係(民法)独学のコツ Part1【宅建士】

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全50問からなる宅建試験ですが、権利関係からは毎年14問ほど出題されています。

宅建業界では権利関係を、民法及びその特別法(借地借家法、区分所有法等)と解釈しており、これらを中心に勉強を進めて行くことが重要なんです。

本試験では毎年、「民法10問・特別法4問」と出題内訳がセオリー化しているので忘れずに。

最短で合格するためにも、出題数の多い民法中心で攻めていくのが、この科目のコツですよ。



そもそも、民法ってどんな法律?

民法とは、わたしたちが生活を送る上で発生したトラブルや争いについて、幅広く網羅した法律です。

一般生活における法的基礎とも言うべき内容ですが、

 

■土地にまつわる権利の性質(所有権、地上権、抵当権等)
■有効な契約と無効な契約の違い(制限能力者、意思表示上の欠缺等)

 

などなど、不動産のプロとして活動する上で、必要な法知識も含んでいます。

(実際に不動産業に携わらない方にとっても役立つ部分が多いので、楽しんで学習できる人ほど有利かもしれません)

ちなみに権利関係における、受験生全体の平均正答率は「50~60%前後」と言われており、理解度の大小が正答率をハッキリと分ける部分です。

独学で合格を目指すなら確実にコツをつかんでおきたいポイントですね。

民法は全5編・3大原則を知ることが合格のコツ

民法は物権や債権などの分野別に整理された法律で、全5編で構成されています。

民法は範囲が広いので混乱しやすい部分ですが、迷ったときに頭の中で科目別に整理できると、答えを導きやすい部分です。

 

民法5編の内訳のご紹介

・総則→民法全体の基礎的ルールとなる部分です。宅建試験的にかなり重要。
・物権→モノ全般に対する権利です。車や宝石はもちろん、不動産も物権です。
・債権→契約で生じる権利。人に対する権利と書くとわかりやすいかもしれません。
・親族→身分関係について定めた法律。出題数的に宅建試験では重要性が低いです。
・相続→遺産相続や遺言などをイメージしていただければわかりやすいかと。

 

民法の3大原則を知ろう!

日本の法律の大きな問題点として、「ある程度知識(常識)がある人を前提にして書いている(としか思えない)」部分が挙げられます。

民法においてもこれは例外ではなく、基本となる3大原則を理解せずして読み進めると、必ず壁にぶち当たる日が待っています。

参考書の中には3大原則を語らずに民法の解説を進めるものもありますから、不安な方はここで確認しておきましょう。

 

民法の3大原則

1、(私的)所有権絶対の原則→モノに対する所有権は、特に強く保護しなくてはならないという考え方。国家権力でも無暗に侵害することは許されません。

2、私的自治の原則→例えば、どんな契約をどんな方式で行うかは、原則として当人同士の自由という考え方です。日本人が一番誤解しやすい部分だと言えるでしょう。

3、過失責任の原則→ある人が取った行動が結果として他人に損害を与えたとしても、故意や過失がなければ賠償の責任を負わないという考え方です。故意及び過失の判定が難しく、厄介な部分です。

 

原則に対する例外規定も忘れずに

このように、民法は基本的に自由主義的な考え方をした法律です。

しかし、誰もが無闇に権利の主張や行使を行う(これを濫用と言います)と、社会経済が著しい混乱に陥ることは、誰でも予想がつきますよね。

そのため、民法では「公共の福祉や権利濫用の禁止」を行い、この原則に対して一定の制御を加えています。

民法規定の理由を読み解く部分に繋がるのでとても重要です。

 


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第1章:民法「総則」の解き方

それでは、宅建試験における民法の各単元の注意点や独学で勉強するコツをご紹介します。

最初の単元となる民法の総則は、制限能力者や意思表示、代理及び時効に関する出題がメインです。

 

制限能力者及び意思表示等

毎年必ず出題される部分です。範囲が広く、ややこしい出題も多いですが、出題の方向性はパターン化しているので勉強の成果を実感しやすい部分だと言えます。

 

■買い取った土地の売主が実は本物の売主ではなかった
■強迫されて売った土地が事情を知らない第三者に転売されていた
■成年被後見人と結んだ賃貸契約について後見人から相談があった

 

このような状況に対して、「その契約が有効であるか否か」「有効であったとして取消ができるか否か」の判断を行えるかが問われます。

最近は第三者が絡んだ出題も多く、複次的な判断が要求されるケースも目立ちます。

成年後見人や補助人といった制限能力者はもちろん、詐欺及び強迫・通謀虚偽に関する契約の有効性についても、正しい認識を持つことが独学合格のコツです。

 

代理に関する出題

代理権に関する問題は、全く出題されない年もあれば1年で2問出題されることもあり、やや予測が難しい部分です。

出題傾向としては意思表示分野と似ており、権利の帰属性を問う出題が中心です。

 

■代理権を付与された人が死亡した場合、代理人の相続人が契約を行った
■代理人が顕名行為を行わずとも、相手方が代理行為であることを知っていた

 

このような出題に対して、権利関係の正しい帰属先を判断できるかが合格のコツです。

代理行為の性質を理解することはもちろん、法定代理と任意代理の違いなど、代理にまつわる必要な知識を1通り網羅しておきましょう。

また、代理人が詐欺をした場合等のイレギュラーな状況を問う問題や、代理権消滅後の契約等の無権代理行為に対する出題も頻出です。表見代理の判断性も含めて、勉強することをオススメします。

 

時効に関する出題

時効制度をご存じない方はいないかと思いますが、時効に関する取り決めも、民法の総則に含まれます。

宅建試験では出題される年とされない年があり、概ね50%くらいの可能性で推移しています。

時効制度については、時効期間そのものを問う出題はあまり見られず、より踏み込んだ内容が多いと言えるでしょう。

 

■消滅時効と取得時効の違い
■時効の中断に関する知識

 

このあたりは特に問われやすい部分です。時効の中断は正しく理解すれば取りこぼす心配は少ないので、過去問を中心に理解を深めましょう。

 

第2章:民法「物権」の解き方

物権と債権は、ある種対となる権利です。冒頭でも触れましたが、不動産はもちろん、宝石や自動車、猫などの動物も物権の範囲内として認識されています。

 

■物権→モノに対する権利
■債権→ヒトに対する権利

 

と理解すると、少しわかりやすいのではないでしょうか。ここでは物権全般の出題傾向や頻度について解説します。

 

抵当権が超重要!

物権については、不動産と関連性が強い抵当権の理解が独学合格のコツです。

抵当権に関する出題が行われない年は無いと言って良いほどで、最低1問、多い年は2問出題されます。

問題の難度としては毎年バラつきがありますが、実務社会でも抵当権を目にする機会は非常に多いので、時間をかけてでも勉強しておきたい部分ですよね。

 

■抵当権の性質(付従性や随伴性・物上代位)や順位(優先弁済等)
■通常の抵当権と根抵当権の性質の違い
■留置権や先取特権・質権等の他担保物件との違い

 

このあたりは、最低限押さえておきたいポイントです。難しい年はどうにもならない肢もありますが、消去法を駆使して得点へと繋げましょう。

 

不動産物権の変動や物権全般に関する出題

不動産に関する物権変動も、かなりの頻度で出題される部分です。物権の発生や移転に伴う権利関係に関する分野であり、毎年多くの方が正答している問題に数えられています。

合格を目指すならばあまり落としたくない部分なので、しっかりと勉強を進めましょう。

 

物権変動とそれに伴う対抗要件

対抗要件のコツを抑えることは必須と言っていいほど重要です。

物権が移転した場合に相手方や第三者に対して主張するための条件を「対抗要件」と呼びますが、不動産の場合は「登記」が対抗要件に影響してくるため、通常の動産よりも権利関係がややこしく、初学者が苦労する部分の1つです。

最近は63億円もの巨額詐欺で話題となった積水ハウスの地面師事件という大きな所有権移転に関わる登記トラブルがあり、時勢的な意味でも重要度は高いのではないでしょうか。

基本となる部分を理解した上で、対抗するために登記が必要となるケースとそうでないケースを整理することで、合格への道は近付きます。

 

物権全般に関する問題

所有権や地役権、占有権といった権利関係やその共有に触れた部分です。

難易度はそれほど高くないのですが、その分出題頻度が少なく、総じて重要度が低いと言えます。

ただし、10~15年ほど前は「持分の共有」に関する出題が比較的目立っていた背景もあります。

最近は出題が減少しているので何とも言えませんが、全く知らないと正答に影響を与える部分もありますから、余裕があれば勉強したい部分です

なお、共有不動産は実社会の不動産登記簿でも比較的多く目にする項目です。共有は何も知らずに取引を行うと後々トラブルになることも多い厄介な権利関係なので、学習しておくと後々役立つ項目の1つでもあります。

終わりに

今回は民法の全般部分に加えて、前半部分となる総則及び物権について触れました。

宅建試験は毎年出題項目が変化する試験ですが、必ず出題される「制限能力者や意思表示を絡めた出題」や「抵当権に関する出題」のコツは押さえておきたいですね。

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