一般的に就職用ライセンスとして運用される事の多い宅建士。
実は、思い切って独立開業を志す方も少なくありません。
特に営業手腕に自信のある方は、サラリーマン時代とは比べ物にならないほどの稼ぎを叩きだす方もいます。
本格的な部分はまた別の機会に詳説するとして、今回はその全体像を追って行きましょう。
目次
えっ!?宅建って独立できるの?
「宅建で独立できるのか?」と疑問をお持ちの方。
答えは「YES」です。
他の業種同様に稼げるかどうかは方法次第ですが、宅建士資格さえあれば、1人でも独立開業可能です。
必要なものは「宅建士!」
不動産業を開業するにあたって、かならず必要なものは「宅建士」資格だけです。
もちろん社長となる本人が持っていなくとも、一緒に独立する仲間が所持していればOK。
必要な開業資金さえ整えば、あとは他の会社と同じ方法で設立する事ができますよ。
ただし、昔から「共に道を立つ事はできたとしても、共に君子となることは難しい」と言います。
独立開業を志す人ならば、ご自身で宅建を取得する事をオススメします。
不動産業は1人でも独立可能 ~ひとり天下で我が道を行く~
不動産会社の中には、「ひとり天下」として、会社を立ち上げ自分だけで働く方も少なくありません。
従業員を雇えばその分固定費がかかりますし、優秀な人だけが集まるとは限らないので、こういった懸念を持つ方にはオススメできる方法です。
(優秀な人は大きな企業に行く傾向が強いので、独立したての企業に集まる人材は、むしろそうでない人の可能性が高いでしょう。)
不動産業は宅建資格さえあれば独立できますから、ひとりで気ままに稼ぎたいという方が出てくるのも、当然の流れです。
不動産業界の一匹狼 ~フルコミッションという働き方~
「フルコミッション」という働き方をご存知でしょうか。
俗にいう完全歩合制であり、独立開業ではないものの、それに近い形を採った比較的新しいスタイルです。
フルコミッションのメリットは、完全独立と異なり、販売対象となる物件があらかじめ用意されている事です。
また、契約企業から対象商品の詳しい情報提供が受けることも可能ですから、営業に集中しやすい環境にあります。
まさに荒野を行く一匹狼といったスタイルで、非常にカッコいいイメージですよね。
もちろん、どの程度支援してもらえるかは契約企業によって異なりますが、完全にイチからはじめなければならない独立開業よりは、少しだけ楽だと言えるでしょう。
不動産開業に必要な資金は、およそ「300万円~1,500万円」!
不動産業を開業する為には、常の会社設立にかかる資金に加えて、知事免許等「宅建業ならではの」お金が求められます。
また、設備投資用の資金も必要ですから、そちらにも投資しなければなりません。
全て合わせて必要な資金は、およそ「300万円~1,500万円」でしょう。
必ずかかる費用「会社設立費用」
不動産業も他の業種同様に、定款の認証代や登録免許税に、印紙代等の「会社設立費用」は必ず求められます。
また、不動産業は知事が発行する宅建免許がなくては開業できませんから、宅建免許代の「33,000円」も加算。
つまり、電子認証で印紙代を節約したとしても、「最低資金275,000円」は確保しておきましょう。
なお、行政書士等に会社設立の手続きを依頼する場合は、更に「5万円~20万円」程度の手数料が必要です。
大きな分かれ目「供託金か保証金か」
宅建士を所有している方ならご存知かと思いますが、不動産業は「供託金」を預けなければ営業(開業)することができません。
供託金制度には2つの方法があり、法務局に営業「保証金1,000万円」を供託するか、宅地建物取引業保証協会に「弁済業務保証金60万円」を納付するかのどちらかを選ぶこととなります。
本稿を読んでいるの方の多くは、資金的なメリットから後者の弁済業務保証金を選択するでしょう。
ただし、宅建試験では60万円と教えているものの、現実に保証協会に加入するには保証金以外に協会加入金等の別途費用がかかるため、実際のところ「130万円程度」求められます。
https://takken-dokugakugokaku.com/?p=40
事務所代や営業車などのコストも
この他に、事務所の賃貸費用や営業カーの購入費なども、当然求められるコストです。
賃料は立地や環境によって大きく異なりますし、営業車やPCや事務用品、ネットワーク環境など業務用インフラ構築も、どの程度充実させるかで大きな差異があります。
設備投資にどれだけ資金をつぎ込むかは、熟慮したい部分です。
結局、最低いくらで開業できるの? ~最低160万円程度か~
資金的な余裕がない方の中には、「とにかく最低資金ではじめたい!」という方もいるでしょう。
ここまで述べた中で、絶対に必要となるのは、不動産開業費である「275,000円」と供託金を含めた保証協会加入費用「約130万円」です。
つまり(事務所等の設備を自宅で用意するとした場合)独立開業に必要な最低資金はこの2つの項目の合計金額である、「約160万円」程度となります。
なお、「まだ安くしたい!」という方は、保証協会が定期的に実施する「キャンペーン」を利用すると良いでしょう。
「入会金を10万円割引!」など、まるでデパートの割引セールのように時々実施されています。
独立開業の年収は?~天と地ほど違う金額差~
不動産業界の独立開業で得られる年収は、成績次第で天と地ほどの差があります。
もともと不動産業界は年収差が激しい傾向にありますが、独立開業の場合は更に輪をかけて、振れ幅が大きくなります。
運命の分かれ道?「賃貸か売買か」
独立開業する前に、自身の会社業務が「賃貸と売買のどちらに比重を置くのか」は必ず考えておくべきポイントです。
一般に、単価が低く契約の締結が容易な賃貸業界は収益が安定し、逆に単価が高く契約締結が難しい売買物件は、年収ベースで収益が不安定になります。
全体としていえる事は、どちらを選ぶにしても年収差が大きい事のみ。
中には、独立開業後わずか数年で、年収1億を超える方もいるんですよ。
FC開業と言う選択肢 ~年収アップを果たせるか~
「独立開業はしたいが、全てイチからやるのは難しい」という方には、FC(フランチャイズ)契約がオススメです。
コンビニエンスストアで有名なFC契約ですが、実は不動産業界も「レオパレス」や「アパマンショップ」等、たくさんの会社がFCサービスを展開しています。
FC契約を行えばパートナーショップとして、インフラ構築から商品となる物件情報まで、様々な情報提供を受ける事が可能です。
販促物なども利用する事ができますし、大手企業の看板が集客数を大幅アップします。
企業ごとに加入条件が異なりますが、条件を満たせるならば十分に有効な選択肢です。
ただし、FC契約は取引物件の単価に応じてロイヤリティがかかる為、同じ成績を上げる事ができるならば、完全独立型の会社の方が年収は大きいでしょう。
そのあたりを考慮して、最終的な答えを導き出す事が大切です。
気になる独立開業の仕事内容~社長はすべてを統括する~
不動産屋の社長さん。
どんな仕事内容なのかとても気になるポイントですよね。
会社規模や営業形態にもよりますが、社長の仕事内容は「統括」です。
人材配置も社長の仕事
開業したての小さな会社の場合、まずは社長が人材の配置を行わなければなりません。
営業職と事務職の振り分けはもちろん、「事業所ごとに宅建士の数は足りているか」等々、宅建業法にまつわる人材配置を考慮するのは社長の仕事内容です。
他に指摘する人はいませんから、全て責任もって行う事が求められます。
資金調達も社長の仕事内容
不動産業界はとにかく資金がかかります。
人件費や設備投資はほかの業種同様ですが、なにせ扱う商品が「不動産」です。
時には自社物件を手に入れる為に、巨額の資金提供を受けなくてはならないこともあるでしょう。
そんな時、運営に欠かせない資金調達をするのは社長です。
会社を維持していく為にも、ぜひとも把握しておきましょう。
売上を出すためのシステム構築
社長の仕事内容は「1つ1つの契約を取りまとめる」ことではありません。
それらは従業員のお仕事です。
社長はもっと幅広い視野で、「従業員が成約率を上げやすいよう、スマートなシステムを構築する」こと。
それは従業員の教育システムの考案であったり、様々な設備の導入であったり、会社の運営方針そのものであったりもします。
独立開業を行うという事は、これらすべての仕事内容に対して「責任」を持つという事を意味しているのです。
おわりに
独立開業に関するあれこれを幅広く紹介しました。
不動産会社の設立は、一般的な企業よりもお金が必要です。
しかしながら、効率よく、低資金で開業を実現する方がいるのもまた事実。
宅建士さえあれば、望むがままの独立スタイルを取る事が可能です。
独立開業という性質上、年収に関しては具体的な数値が挙げられませんが、総じて幅広いという点は把握しておくべきポイントだと言えます。